前回からのつづきです。
前回までは年次有給休暇について、
・付与方式
・使用期限と起算日、起算期間
についてお話ししました。
前回記事↓
次に
『年次有給休暇の取得義務』
についてみていきまっすん。この記事の本番の内容です。
少し前までは有給休暇は特に取らなくても良いものだったんです。
これが『企業は従業員に有給を使わせないといけません。違反したら罰します。』というように法律が変わりました。私たち(従業員)がというよりは企業に課せられた義務ですね。
その対象者が
・『2020年4月1日以降に有給を10日以上付与されていること』です。
期間と日数は
・期間:1年間(起算日から次の起算日の前まで)
・日数:5日間
これは前回記事でお話ししたように、非正規でも条件を満たしていれば対象になります。
もう少し掘り下げましょう。
①どんな人が対象になるの?
みていきましょう。
【対象になる人その①】
<正規雇用>
・正社員
<非正規>
・週30H以上働く人
・週30未満でも、週5日以上働く人
・週30未満でも、年間217日以上働く人
*有給の起算日に上記の↑の条件で働いている人は、有給の付与方式が「一般労働者」になるので、最低でも有給が10日発生します。
【対象になる人その①】
<非正規>
・週3日または年間121日〜168日働く人で勤続5年6ヶ月以上になる人。
・週4日または年間169日〜216日働く人で勤続3年6ヶ月以上になる人。
*有給の起算日に上記の↑になる人は、有給の付与方式が「比例付与方式」により最低でも有給が10日発生します。(ここは詳しくは割愛します)
えーい。こまけぇなぁ!
つまりだ。付与方式がなんであれ、
2020年4月1日以降に有給が10日以上発生したら、
次に有給が発生するまでに5日使わなければならないよ。
ということ!
②途中で雇用形態が変わったらどうなるの?
起算日時点での雇用契約に基づくので、一旦発生した有給はそのままです。
たとえば起算日前の変更のケース。
a.正社員で働いてたけど、起算日が来る前に結婚してパートに変えた。
起算日にはパートの雇用契約書に基づいて有給が付与されます。労働日数と勤続年数に応じて決まった日数が付与されます。
起算日に10日以上付与されれば、継続して取得義務対象者のままです。
逆に
b.パートで週2日で働いてたけど、起算日が来る前に週40H以上のフルタイムに変えた。
起算日には付与日数は一般労働者と同じになります。起算日以降は取得義務対象者になります。
たとえば起算日後の変更のケース。
a.正社員で働いてたけど、起算日が来た後に結婚してパートに変えた。
起算日時点ではまだ正社員です。取得義務対象者のままです。
b.パートで週2日で働いてたけど、起算日が来た後に週40H以上のフルタイムに変えた。
起算日時点では取得義務対象ではありません。
次の起算日までは取得義務対象者ではありません。
ちなみに
※一度発生した有給は、取得義務と雇用形態問わず、時効以外で消滅することはありません。
※試用期間うんぬんも、社保加入うんぬんも関係ありません。
雇用契約を変えた場合、変わった日ではなく、あくまで
『起算日時点での雇用契約書における所定労働日数』と『勤続年数』により決まります。
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③いつでも自由に使えるの?
基本的に有給は使いたいときに使っていいのですが、会社によってそうもいかない。
繁忙期に有給申請されまくったら仕事にならんスよね;
会社には『この日は避けてください』という、『時期変更権』があります。
有給は権利、とはいえ、完全フリーダムというわけではないのです。
でもそのへんは会社によりますけどね。
今回の取得義務化では『時季指定』というのがあります。
我々従業員ひとりひとりに取得希望時期を確認し、なるべく希望どおりに取得できるように日を指定することになってるそうっす。
でもこれだと管理する人事の人が大変になってしまうので、『計画付与』というのを使うこともできます。この計画付与制度は以前からあるやつです。(個人的に好きではありません)
これは有給が5日以上発生する従業員に対し、5日を超える分について『この日に使いなさい』と会社が決めてしまう方法です。これで取得漏れを防げるぜってことっすね。
5日分ちゃんと消化するので、有給ぐらい自由にさせろやってまじ思います。
なんかこう、玉突きといいますか。。
新しい法ができると、隙間や闇ややりすぎ事例が発動しますね。
なるべくは手間であっても、せめて時季指定がいいなと私は思います。
長く書きました。ねむい。笑。
もー少しスマートにまとめたかったけど法律ってそこが難しいですね。ケースバイケースがあるので;
有給取得義務の対象ではない人は、従来通りですのでご安心(?)を。
この先も続く働き方改革が、今のコロナの混乱のように労働者を混乱させず、本当に労働者や誠実に生きる人が、正しく過ごしやすい生きやすい世になることを切に願っております